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高速電力線通信に反対する

最近になって急転直下、風雲急を告げている高速電力線通信(PLC)だが、最終的な決定に向けて総務省ではパブリックコメントの募集を開始している。

PLCは所謂「ラスト・ワン・マイル」をカバーする技術として業界では期待されているようだが、これは先のリンクにも書かれているように全くシールドがなされていない電力線に2〜30MHzの周波数帯でデータを乗せて搬送するというものだそうだ。

普段、家庭内にイーサネットでLANを構築している状態でもかなりのノイズが入るのだが、2〜30MHz、すなわち短波帯の電波が輻射されるのだから非常に対策の難しいノイズ源になることは予想に難くない。私はアマチュア無線家・BCLとしての立場から反対するとともに、海岸・海洋工学にたずさわるものの端くれとしてもPLCに反対である。

近年、陸上からの潮流や波のデータを観測する手段として海洋短波レーダー(HFレーダー)の利用や研究が盛んになって来ているが、現在日本で稼動しているHFレーダーの設置場所はADSLや光ファイバーの普及が遅れているであろう地域に集中していることがわかる。HFレーダーは低コストで高精度の観測データが得られる点で着目されているのだが、観測対象の性質からノイズの影響を受けやすいことは十分に考えられる。今後、発生確率は低いものの船舶の航海に重大な影響をおよぼす巨大波の観測にも短波レーダーが使用されて行くと考えられるが、PLCはこういった観測に影響を与えないのだろうか?

上の意見はいまだ仮定の域を出ていないが、私がPLCに対して抱いている不安と不信のアウトラインだ。

ちなみに、研究や趣味的な電波利用と異った視点からの反対アピールを作家の野尻抱介氏が自身のWebPageに掲載されている。

(10/25追記)
上の文を書き終った後、更に調べてみると現在は屋内配線に信号を重畳することが検討されているとのこと。しかし、あちらこちらの施設や家屋でPLCを使われれば、相対的に弱い電波を受信しなければならない観測では大きな影響を受けるだろう。

by buchi1201 | 2005-10-25 00:03 | 無線